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Days of "dancin' in the vein"

葉脈ダンスの日々

   

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HORROR

玄関のほうから不穏な気配を感じてふと見ると、ドアのすりガラスの向こうに小学生くらいの男の子の姿が見えていた。すりガラスのせいではっきりと顔は見えないのだけれど、その眼窩が奇妙にウツロでぞっとする。反射的に、これは「入れてはいけないもの」だと気づき、見なかったことにしようとした。しかし子供は「開けて!」とドアを叩いてくる。

いつのまにかドアを開けてもいないのに、女の子が一人部屋の中に入り込んでいる。「勝手に入らないで、出て行きなさい」私は必死で叱りつけるが、子供はおかまいなしに廊下を突っ走って部屋へと駆けていこうとする。

いつのまにか玄関のドアのむこうに、何人もの子供たちが集まっていた。中には中学生くらいの背の高い女の子もいて、勝手にドアを開けようとして騒いでいる。私は鍵を開けさせまいとして必死で防衛するが、背の高い女の子の口から伸びた長い舌がドアの上部の隙間からスルスルと入り込んできて、鍵をこじあけてしまう。

子供たちが部屋になだれ込もうとしたとき、外から近所の奥さんが何をしてるの、と叱る声がした。見てみぬふりが基本の街中で、子供を叱れる大人のいたことに私は感激し、子供たちも驚いたのか侵入を中止して表に集まった。

可哀相な子たちなのよ、と奥さんは言った。聞けばすぐ近所の学習塾、皆そこに通っていた子供たちなのだが、その塾が悪徳商法で子供たちを騙していたため全員受験に失敗し、子供たちは揃って自殺してしまったのだという。それで今も成仏できずに集まってはいたずらをするのだが、たいした悪さはしないから怖がらなくても大丈夫と。

見れば確かに、子供たちは大人しく肩を寄せ合ってしょんぼりしている。私は急に彼らが可哀相になって、奥さんと一緒にその学習塾に怒鳴り込む相談をした。子供たちは頼もしそうに私たちを眺めている。私と見知らぬ奥さんは子供たちの亡霊を引き連れて、学習塾へ行進を開始した。

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