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Days of "dancin' in the vein"

葉脈ダンスの日々

   
カテゴリー「NICEDREAM」の記事一覧

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通過儀礼

通過儀礼があるという話は幼い頃から聞かされていたけれど、それが本当にやってきたときは、あまりの唐突さに流石に驚いた。バス停の前にいつのまにかできていた食堂兼惣菜屋のようなところで並んで買う焼きそばを食べるのを楽しみにしていた私としてはそれが食べられないことだけが心残りだった。大きな天狗の面を持った男と、同じく鬼の面を持った子供と、顔に真っ赤な勾玉のような刺青のある女がその使者で、誰から聞かされたわけでなくとも一目でそれとわかり、玄関先に立つ彼らの姿をみつけたときは予想していた以上にゾッとした。父親が使者の姿が象徴しているものについて何やら説明していた。義経と弁慶と、なんだかよくわからないがああいうものも全部同じことの象徴だという。父親はすでに目つきがおかしい。話している内容がまともだとは思えない。しかし私は出かけなくてはならない。同じ年頃の二人のいとこと一緒にまだ子供の私はひたすら山道のようなところを歩かされた。その後おこることはすべて試練なので乗り越えねばならない。

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植物卵

冷蔵庫を開けた。何かを取り出そうとしたわけだが、小さな虫が目についた。ティッシュでつまみ取ろうとしてティッシュの箱に手を伸ばしたが届かない。よく見ると小さな虫だと思ったものには薄い緑色の長い脚が生えていて、胴体の小ささに比べて全体の体長は予想外に大きい。しかも1匹ではない、気付けば数匹、冷蔵庫の中にいる。開け放しているともっと入ってくる気がしてとりあえず冷蔵庫を閉める。
ふと見ると、冷蔵庫の上あたり、台所の棚に、緑色の葉っぱのようなものが、吸盤のようなものでくっついている。そいつがきゅっと収縮したと思うと、中央からペッ、と真っ白いラッキョウ大の卵を吐き出した。卵は部屋の中へ飛んでゆく。まずはこいつから何とかしたほうがいい。やはりティッシュで掴み取ろうと思い、シンクの上に背伸びしてみるが、ふと見ると天上いっぱいに、真っ白い黴のようなものが付着して綿のように膨れ上がっている。背伸びした分天井に近づくと胞子が飛んできそうだ。マスクをしないと吸い込みそうで怖い。
いったん床に降り、どうしようかと考える、その隙にも吸盤つきの緑色の葉っぱのような物体は、収縮してはペッ、とラッキョウ大の白い卵を吐きだし、部屋のあちこちに飛ばしている。こいつにはビニール袋か何かを被せたほうがいいかもしれない。
ティッシュ、マスク、ビニール袋。冷蔵庫の虫、天井の黴、卵を吐く葉っぱ。どこから対処していいかわからず、私はウロウロと足踏みを繰り返す。

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佐久大井

いつもの駅から、いつもの電車に乗って、
いつもの駅で乗り換え、いつもの駅に着くはずだったのに、
乗った電車がいつまでたっても乗り換え駅につかない。
地下鉄だからどの電車に乗っても行く先は同じはずなのだが、
ふと冷静になると私が乗っている電車はそもそも地下を走っていない。
間違えてJRに乗ってしまったのだろうか。

とにかく次の駅に着いたら降りて、
いったんどうするか考えよう、と決めて
降りた駅の名が「佐久大井」だった。
聞いたことのない駅だ。
とりあえず改札を出てみて、路線図を探すがどこにもない。
そうだ、こういうときのためのスマートフォンではないか、と思いだし、
佐久大井、から目的駅まで検索しようと思い立つ。
しかしいくらページをスクロールしても
検索画面にいっこうに辿りつかない。

そもそも佐久大井とはどこなのか。
どうやったらこの駅から出られるのか。
私はいつまでも携帯の画面をスクロールし続けた・・・


----------------------------------------
目が覚めて、真っ先に思ったのは「佐久大井ってどこやねん?」でした。
検索してみたけどそんな駅名はなく、
出てきたのはこれ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BA%95%E5%9F%8E
長野県佐久市に、大井城というものがあったらしい。
行った記憶はむろん、何かで見た記憶もないのだけど・・・
覚えてたらいつか跡地に行ってみよう。

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PANIC

部屋で「親友」と一緒にパニック映画を観ていた。
いつのまにか映画の中の出来事が現実に溢れ出してきていて、
気づくとそこいらに、なにか強力な重力に逆らって岩にしがみついている大勢の人たちがいる。
あげく、クッションほどもある巨大カニが、
切れ味鋭いハサミをふりまわしているので、
恐ろしくなった私は、外へ逃げようとした。
しかし、どの扉を開けても、巨大カニがハサミを突き付けてくる。

ようやく外へと逃れると、あちこちに真っ赤な血の跡が広がっている。
巨大カニの餌食になった人たちの流した血だ。
そのうち子供の甲高い悲鳴のようなものが聞こえ出して、
子供がカニに襲われているのかと思ったら、
当の子供が奇声をあげながら細いワイヤーのようなものを振り回して、
逃げる大人を追いかけまわして切り裂いている。
巨大カニも怖いが、血に飢えた子供はもっと怖い。

私は恐怖で半狂乱になって走り回ったが、
狭い公園のなかをぐるぐる廻っているだけのようで、他に逃げ場はない。
そのうち混乱に乗じて悪事を働いているガラの悪そうな若い男の集団がやってきて、
私は取り囲まれ羽交い絞めにされた。
しかし運よく、リーダー格の男がメンバーの一人にいちゃもんをつけ始め、
仲間割れが始まった。
皮を剥ぐとか物騒なことを言っている。
その隙になんとか逃げ出した私は、命からがら部屋に戻った。

部屋の中は避難所のような状態になっていたが、
「親友」は、私のためにオニギリを作って待っていてくれた。
「親友」は、特定の誰かではなくてすべての親友の集合体のようなもので、
総合するとなぜか「壇蜜」的な雰囲気をかもしだしている。
私は彼女の優しさに胸がいっぱいになり、
号泣しながらオニギリを食べた。


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HORROR

玄関のほうから不穏な気配を感じてふと見ると、ドアのすりガラスの向こうに小学生くらいの男の子の姿が見えていた。すりガラスのせいではっきりと顔は見えないのだけれど、その眼窩が奇妙にウツロでぞっとする。反射的に、これは「入れてはいけないもの」だと気づき、見なかったことにしようとした。しかし子供は「開けて!」とドアを叩いてくる。

いつのまにかドアを開けてもいないのに、女の子が一人部屋の中に入り込んでいる。「勝手に入らないで、出て行きなさい」私は必死で叱りつけるが、子供はおかまいなしに廊下を突っ走って部屋へと駆けていこうとする。

いつのまにか玄関のドアのむこうに、何人もの子供たちが集まっていた。中には中学生くらいの背の高い女の子もいて、勝手にドアを開けようとして騒いでいる。私は鍵を開けさせまいとして必死で防衛するが、背の高い女の子の口から伸びた長い舌がドアの上部の隙間からスルスルと入り込んできて、鍵をこじあけてしまう。

子供たちが部屋になだれ込もうとしたとき、外から近所の奥さんが何をしてるの、と叱る声がした。見てみぬふりが基本の街中で、子供を叱れる大人のいたことに私は感激し、子供たちも驚いたのか侵入を中止して表に集まった。

可哀相な子たちなのよ、と奥さんは言った。聞けばすぐ近所の学習塾、皆そこに通っていた子供たちなのだが、その塾が悪徳商法で子供たちを騙していたため全員受験に失敗し、子供たちは揃って自殺してしまったのだという。それで今も成仏できずに集まってはいたずらをするのだが、たいした悪さはしないから怖がらなくても大丈夫と。

見れば確かに、子供たちは大人しく肩を寄せ合ってしょんぼりしている。私は急に彼らが可哀相になって、奥さんと一緒にその学習塾に怒鳴り込む相談をした。子供たちは頼もしそうに私たちを眺めている。私と見知らぬ奥さんは子供たちの亡霊を引き連れて、学習塾へ行進を開始した。

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